信仰

生活が不規則不安定になっている。僕は比較的時間にゆとりがある時期に色々と考え込んでしまうきらいがあるからであろう。とはいえ今日やっと一区切りつけそうなところまで来た。……例えば、石原慎太郎氏の言葉について考えていた。「人間は、特に男は、ある時、自らの弱さを構えて死ぬほどつらい、いやむしろ死んだ方がましだと思うほどの辛さを味わうことが必ずある。それをくぐらなくては一人前の競争者、一人前の勝負師、一人前の男にはなり得ない」……この言葉は、現代のマジョリティの感覚とはいくらか距離のある言葉だが、いつか目にした瞬間から、簡単に片付けられない言葉として書きとめていた。僕自身に当てはめて考えてみると、辛い経験の一つや二つ、あるいは三つは、あると言えばある。しかし、それらはいくらかの教訓と自信を与えてくれたものの、人生の大きな関門をくぐり抜けたというような感覚は、不思議なことに皆無である。その理由については、ある程度消化して、辛い記憶が薄れたからというのが一点。もう一点は、僕が「一人前の競争者、一人前の勝負師、一人前の男」からは程遠く、実はそこまで自信がないからであろう。まあ、僕はまだ若者と呼ばれる年齢であって、別に確証もないのだが、辛いこと、成長はこれからの方が圧倒的に大きいような気がしている。ただ、昔とは違い、僕は人生に対して、良い意味で楽観的な視点を一度身につけているし、いくらかのコツも掴んでいるように思う。これから死にたくなるような何かがあるとすれば、ひょっとするとこの日記に打つのも憚られるようなことであろうか。よくよく考えてみると、確かに辛さというものは底がない。ふと、1月に読んだ『キッチン』でもそうだったなと思った。いずれにせよ来るときは来る。信じるものはいくつかあるが、桜井みかげの台所は、僕の日記かもしれない。振り返れば同じようなことを何遍も打っているが、ほんとうにそう思う。